15人が本棚に入れています
本棚に追加
ピクルスサンドイッチ
ある週末、私はお昼くらいに東京に到着した。
久し振りに外食したいと思っていたが、迎えに来た彼が「昼食を用意しておいたから。」と言うので、そのまま彼のマンションに直行する事になった。
昼食はお洒落な事に、クロワッサンでできたサンドイッチだった。
私は最初喜んだが、実物を見て驚いた。
…何かこう、クロワッサンに挟まっているものが緑色の物しかない気がする…。
ハムとかチーズとか、トマトを挟めばカラフルになりそうなものなのだけど。
とりあえず、頂いてみる事にした。
…レタスの間に、やたら肉厚なピクルスが…。
ハンバーガーに例えると、お肉の部分が全てピクルスと化していた。
食べても食べてもピクルスの味しかしない。
なぜピクルスを主役にしちゃったのか!?
「ピクルス好きなんだっけ?」
私は引きつった顔で聞いた。
「うん。」
彼はピクルスサンドイッチを平らげながら言った。
私も慌てて口に詰め込んだ。
すると彼は、
「おかわりは?」
とまたしても聞いてきた。
私は「お腹いっぱいだから。」と誤魔化し、お茶を大量に飲んだ。
いくらピクルスが好きでも、これはない…。
私は翌朝、オープンサンドを振る舞う事でサンドイッチの何たるかを説こうとしたが、彼はひたすらもぐもぐと食べるだけで、あまり効果はない様子だった。
彼を見ていると、しばらくピクルスはいいかな、という気分になった。
最初のコメントを投稿しよう!