ヨーグルト珈琲カレー

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ヨーグルト珈琲カレー

週末。 私は彼の料理する姿を見張るようになっていた。 インスタントブルーマウンテンやピクルスサンドイッチなどはまだかわいいものだ。 けれど、ダーク筑前煮だけはどうにも解せない。 今夜はカレーのようだった。 「少し前までは彼女に作ってもらいたい料理といえば肉じゃがだったけど、今はカレーなんだって。カレーの隠し味に何を使うかがミソらしいよ。」 彼はそう言いながら、冷蔵庫からヨーグルトを取り出した。 「俺はこれかな。」 なるほど、ヨーグルトね。 お肉が柔らかくなるっていうし、今回は案外まともかもしれない。 「あと、これ。」 さらに彼が取り出したのは、昼間淹れた珈琲の残り。 珈琲が隠し味になると聞いたような気がしないでもない。 私は黙ってそのまま見ていた。 彼はカレールーを溶かすと、そこにまずヨーグルトを入れた。 …どばっと。 どばっと!? いやいやいやいや。 隠し味って少し入れるから隠し味でしょ!? さらに彼は、珈琲をどばっと。 ちょっ…。 私は固まった。 カレーの色がハヤシライスよりクリーミーな色になってるんだけど…。 それから匂い! なんか夏に作ったカレーを放置しちゃった的な匂いがする! いざ実食タイム。 私はヨーグルト珈琲カレーを恐る恐る口に運んだ。 …酸っぱい! プレーンヨーグルトの味がそのまま残っている…。 カレーを食べているというより、ヨーグルトにカレーソースを入れましたの方が正しい気がしてきた。 そしてうっすら苦い…、これは珈琲だろうか。 そして微かに腐った匂いがする…。 少なくとも、これはご飯にかけて食べるものではない。 罰ゲームか何かだ。 この食の暴力に耐えられず、私は一気に食べる事にした。 お茶を駆使して、なんとか飲み込んだ。 すると彼は、 「おかわりは?」 と、魔の質問をしてきたのだった。 一体、彼の味覚は何処へ向かっているのだろう。 私はこの時のカレーの味を、今も忘れられない。
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