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ごめんなさい。貴方に見とれて聞いてませんでしたとは言えない。
「…あの、あの…えっと…。」
アタシは熱暴走したパソコンのようにしどろもどろにワケの分からない言葉を吐き出していた。
そう、今日はアタシのための勉強会なのだ。入学してからバイトとバイクと部活に明け暮れた日々は、学生の本分である学業の時間を奪い去った。失われた時間を取り戻すため、先輩逹の力を借りて赤点を回避し、バイトとバイク禁止令を回避するべく、目前に迫った中間試験まで頑張っているのです。
…パチッ。…ジッ。
なんだか変な音と共に、焦げ臭い匂いがしている。樹脂が焼けるような、金属が溶けるような、変な匂い。アタシの頭のヒューズが切れてしまったのだろうか?少しばかり煙りも漂い始めた。アタシ壊れちゃったのかな?
突然、ミクリン先輩が顔を上げると、アタシの頭越しに声を上げた。
「あのな?勉強会なんだからハンダ付けはやめてくれないか?臭いし、煙いし、気になるし。ミカリン?」
そう、アタシの後ろにはミカリン先輩がいた。
「なんでココでやるの?今日は機械科の専門科目だから、ミカリンはいなくても大丈夫なんだけど。」
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