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少しイライラした口調のミクリン先輩に対して、顔も上げず、手も止めることなく、静かに、ぶっきらぼうに答えた。
「イイじゃないですか。そっちは勝手に勉強してて下さい。専門科目は同じ機械科のミクリン先輩の方が教えられるでしょ。私も専門の課題があるんですから、こっちも勝手にやらせてもらいます。」
ミカリン先輩はアタシの真後ろに陣取って、机の上に課題の基板とICやらLEDやらコンデンサやらの電子部品を盛大に散らかしている。しかし頭は集中して基板に向かい、電子部品のハンダ付け作業を行っている。
「それに、若い男女をふたりきりにしておいて、何か間違いがあったらこまりますから。」
「おーい、可愛い後輩にそんなことしねえよ。」
うわ!そんなこと!…アタシは少し想像してしまいました。
「え?可愛いからしちゃうんじゃないんですかぁ?」
可愛いとなにしてくれちゃうんですか?
「バッカじゃねぇの?」
あ、ミクリン先輩怒ってるの?照れてるの?
「もういいから集中させてください。私も忙しいんです。」
ミカリン先輩は右手にはハンダごて、左手にはハンダの一巻と吸い取り機を持って、机に固定した基板と格闘している。しかし突如、忙しく動いていた手が止まって、基板とのにらめっこが始まった。
「…っかしいな。…図面と違くない?」
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