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キックスタート!エンジンに火を入れるのはアタシの仕事だ。バイクに跨ってキックペダルを起こす。ハンドルを握ってスロットルを閉じたまま、ペダルをゆっくり踏みながら『上死点』を探る。土踏まずにペダルの重さが伝わって来る。一番重くなったところで、じわりと体重をかけた後、一気に踏み抜く!
スココココ…。
クランクが力無く停止した。まぁ、その日初めてのキックが一発でかかることはまず無い。もう一度。
スココココ…。
スココココ…。そろそろ…。
スココココ…。もいっちょ!
ビッビッビッ!かかった!軽くスロットルをあおる。
ビビビッ!もうちょい。
ビィーン!ビィーン!
チャンバーから白い煙を吐き出して、NSR50のハートに火が灯った。
ビビビビビビ…。
2ストローク特有のオイルが燃える匂いがする。断続的な排気煙に手をかざすと心臓の鼓動に似たリズムで排気されるガスが手のひらに伝わって来る。手を引っ込めて見ると細かいオイルの粒が少し付いている。
暫くしたら、アイドリングも落ち着いて安定した。NSR50は今日も元気だ。
「かかったよ。」
「ああ。じゃあ、着替えてアップしてきな。」
一旦エンジンを切った。トランポに乗り込んで、ツナギのインナーに着替える。その上に再び短パンを履いた。だって何だか、はずかしーじゃん!インナーは上下が繋がった長袖&タイツ。身体のラインが出ちゃうでしょ?…ゴボウだけど。…ゴボウだからかな?
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