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それから四六時中一緒に付いて行動し始めて、めきめきと実力を付け始めて。今では、ターリアは日夜戦いの場に身を置いていた。……ゲームの世界の外、現実世界で毎日会っているのだから別に構わないのだけれど。
それでも――
「僕は……君とこうしてゆっくりとした時間を過ごす方が――」
「っ!? なんの音!?」
突如、けたたましくサイレンが鳴り響いた。
運営のアナウンスだろうか。それにしても、ここまで喧しく鳴るのは初めてだ。それに、それにこんな中途半端な時間に行うなんて、緊急の案内なのだろうか。
『――現在接続されているプレイヤーのみなさん』
「……声?」
普段ならテキストのみで表示されるはずの運営アナウンスが、今回に限っては合成音声のようなものによって始まる。抑揚がない、温度もない、雑な作りな棒読みの声。
『サービス開始から二年余り、未だに最後のクエストクリアを達成したプレイヤーはおりません。生活にのみ注力し、挑む者も少なくなってきました」
『私は、クリアを望んでいます。ゲームに参加したのなら、クリアを目指すのが貴方たちの義務です。できないのなら――死んでいただきます』
――あまりに簡潔な物言いに、呆気にとられた。
恐らく自分たちだけではない。接続している全員が、呆然としただろう。
『一ヶ月の期限を与えます。それまで、逃げ出すことは許されません』
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