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祖母の家ならば、俺がその土地に詳しくなくても、どうにか納得してくれる。
「……そう、大変ね……」
ご飯を大盛りにしてくれた。
隅の席に目立たないように座ると、指輪から出る志摩の手が、ご飯を味見していた。
「守人さん、売り場に行って、生産者別に米を五キロずつ購入しておいてください」
俺は頷くと、カレーのスプーンを大慈に持たせた。
志摩とゆっくりと食事をしたいが、公衆の場では、志摩を出す事ができない。こちらの世界では、×という存在は知られていないのだ。
「守人さん、卵も購入をお願いします」
定食は野菜が中心で、田舎料理が出ていた。レストランで食べるにしては地味になるが、どれも毎日食べたい味だった。
食事を完食すると、売り場に向かい、米を量り売りしてもらった。米を車に積み込むと、次の目的地に向かおうとする。
「守人さん、田舎料理のお惣菜と、おにぎりを購入してください」
「わかった」
志摩が欲しがるものなど少ない。あれこれ、おにぎりや総菜を買い込むと、再び車に積み込んだ。
「……ここの米もいいものですね。おいしいです」
近所の湧水も採取すると、更に移動を続ける。
「次は!地元の直売所です!」
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