第二章 朱火定奇譚 飯 二

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 道の駅のような公共さはないが、価格は少し安価になっていた。地元の人の手料理も出ていて、あれこれ購入してしまった。ここにはレストランが無かったので、外で弁当を食べてみた。 「志摩?どう?」 「ここは、惣菜はいいですが、米はいまいちです」  ここでは、米を購入しないらしい。  休憩所は無いが、芝生の庭が広くて、少し休憩してしまった。 「志摩と食べ歩きなど、初めてだね……」 「はい。産地で食べるのも美味しいですね」  米ばかり食べている気がするが、志摩は真剣に記録していた。この志摩の真面目さが、俺も好きだと思う。  これから少し長く移動して、次の目的地に行く。 「ここに来ないと食べられない!というものがいいですよね……」  それは最近曖昧になってきた。どこに行っても、同じような料理を目にする。 「喫茶店ひまわりで、それをやるならば、朱火駅の周辺の何かでやらないとね……」 「そうですよね……」  朱火は中途半端に都会で、建物も多いが、合間には畑もある。しかし、その畑が美味しそうに見えないのだ。 「いや、待てよ。俺たちの出身地を大きく見出しに付けてしまって、壱樹村の品物で揃えるというのもアリかな……」
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