第二章 朱火定奇譚 飯 二

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 まるで写真の中の世界に入ってしまったかのような、錯覚を感じる。川まで降りて、水に触れてみると、水も止まっていた。 「……変な所に入り込んだな……」  携帯電話を見ると圏外になっているので、この地は、どこかが迷っている。しかし、車に戻ってみると、数人が畑の横で喋っているのを見つけた。俺が、声を掛けようかと歩き出すと、見えているのに全くたどり着けない。 「どうなっている?」  この世界は、俺の存在を許さないということなのか。俺が立ち止まると、喋っていた人がこちらを向いた。 「どうしたの?迷子かい?」  俺の姿は見えているらしい。 「はい。道の駅に行こうとしています」 「歩いて行くのかい?少し遠いよ」  俺が車を指差そうとしたら、車を見失ってしまっていた。そんなに離れたわけでもないのに、車が見つけられない。 「車で移動します」  俺が頭を下げると、三人が話し合い、懸命に道を教えてくれていた。  しかし、教えるも何も、ここは両側に森があって、道が一本しかない。聞いた俺を不審がらずに、丁寧に教えてくれたが、少し悪い気がしてしまう。 「坊や、少しこっちに来て、食べて行きなよ」     
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