第二章 朱火定奇譚 飯 二

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 どういう脈略なのか分からないが、三人に呼ばれてしまった。俺が、好奇心から歩み寄ってみると、今度は辿り着く事が出来た。 「どっから来たの?」  レジャーシートの上には、大きなポッドと漬物、手作りの饅頭が置いてあった。 「朱火です」 「あ、そっちに息子がいるよ。館野っていうのだよ、知っているかな?」  朱火にも何万人も住んでいると言おうとしたが、思い出してしまった。 「館野 幸多さんですか?」 「そう!知り合いか!お新香食べてみてよ、おいしいよ」  手にお新香を乗せられてしまったので、食べてみると、本当に美味しかった。 「どうやって作るのですか?すごく美味しいです!」  今度は、丁寧に漬物の漬け方を教えて貰った。 「浅漬けだから、野菜がおいしければ、漬物も美味しい!」  館野の母親らしき人は、ここから歩ける距離の家に住んでいた。この三人は、こうやって畑仕事の合間にお喋りする事が、唯一の楽しみらしい。笑いながら喋っているのは、ペットの犬や、亭主、料理など多岐に渡っていた。 「あれは、炭焼き小屋なのですか?」  小屋から煙が登っていた。 「いいやね、燻製小屋でね……あっちの家の人がさ、燻製に凝ってしまってね……」
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