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少し迷惑しているらしい。
「夜通し、煙があがっているでしょ。どうも、怖くてね……」
この土地は静かで、特に日中は皆も会社勤めに出ているらしい。この女性三人は、小さな畑で、お小遣い程度を稼いでいると笑っていた。
煙が流れてきたが、これは燻製などではなかった。彼女達は、ちゃんと記憶しているのだ。でも、あまりのショックに、この場に留まって、永遠を彷徨ってしまっている。
「ご馳走様でした」
「さよならね。息子に会ったら、もう帰れとは言わないから……墓参りには来いって伝えてね」
手を振って見送ってくれるが、三人の顔がとても寂しそうに見えた。
「さよなら……」
俺は頭を下げると、車に向かって歩いてみた。
今、強く感じるものがキーワードとして繋がってくる。風、水、煙、細い道、煙……永遠に続くと思っていたお喋りなど、ここには、その日あったのだ。
怖がったのは、燻製小屋、そこから出火したのだ。そして、この周囲一帯を燃やしてしまった。
「守人さん!どこに居たのですか?見えなくて、探していました!」
志摩の手が伸びて来ると、俺を車の中に引き入れ、抱きしめていた。
「夜だった。それも深夜で、皆、眠っていた……」
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