第五章 朱火定奇譚 肴

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「入っている……」  奥の空間に志摩が穿かれてゆく。その空間に入れられると、排泄したいと体が動く、でも決まった場所のように、志摩は納まってしまった。 「すごい、守人さんの中、蠢いていますよ。気持ちいい……」  こんな場所から、愛されるとは思ってもみなかったが、志摩に抱かれるようになって分かった事もある。 「志摩……俺も気もちいい……」  体の中で志摩を感じると、身体よりも心が痺れてくる気がする。その心から全身に、喜びが満ちて溢れてくる。 「動きます……」 「うわあ、あんんん、ひ……いいいいいい」  痛い事は痛いのだが、それよりも志摩を感じていたいのだ。 「うぐぐぐぐ」 「ひいいいいいい……」  悲鳴を上げていると、志摩の動きが少し止まり、何かローションを出してきた。 「泥ですけどね……悲鳴が凄くて、同情してしまいました……」  ローションを足されると、ジュブジュブという、淫らな音が響いてくる。 「守人さん、いきます」 「ひいっく、ひい、ひい……」  色気のない悲鳴にも関わらず、志摩は激しく腰を振っていた。その激しさのまま、三十分も続けられると、俺も反応する気力も、悲鳴を出す元気も無くなる。すると、志摩は俺をうつ伏せにして、再び突き上げを開始していた。志摩は、俺の首や背にキスしながらも、俺の尻を持ち上げ、自分に打ち込みさせる。こんなに激しい志摩は、初めてかもしれない。 「志摩……どうしたの?」 「……分かりません、幾ら抱いても、守人さんが不足している気がして……」  心が満たされていないということか。俺は、一旦体を離すと、志摩を突き飛ばし、自分が上になった。 「守人さん?」 「自分で入れる!」  自分の中心に志摩を添えて、体重を乗せて押し込んでみた。 「志摩、何を悩んでいるの?」 「……守人さんを、閉じ込めておきたいのです。どうしょうもありません……ずっと、この世界に置いておきたい!」  この状態でも、志摩に泣かれるのは堪える。 「……守人さんが、公共の人なのだとは自覚しています。でも、そう思う程に、閉じこめたくて……」 「……志摩、俺もだよ。志摩を拾って、一度も家に帰していない……」  自分で動けずにジタバタしていると、志摩の手が俺を持ち上げると、腰を動かして打ち込む。 「志摩が大好きで、閉じ込めてしまった」
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