第五章 朱火定奇譚 肴

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「守人さん、私が帰らなかったのは、守人さんを他の人に取られたくなかったからですよ……」  恋は互いにするもので、自分だけではままならない。両想いでも、互いの欲望で縛られてしまう。 「……志摩」  どうしてなのか、身体の中にいる蜘蛛が、凄い勢いで修復してくる。そこで、いくら慣らしても、志摩を締めあげてしまう。志摩も苦しそうに呻いていた。 「……守人さん!」  志摩が中でイッたので、俺は横に転がって、荒い息を整える。ここは風呂場なので、他の手が、再び全身を洗ってくれていた。 「守人さん、中を洗いましょうか?」 「自分で出来るからいい」  シャワーを探していると、志摩の手が伸びてきて、中に湯を入れられてしまった。 「ここ、シャワーが無いのですよ。で、ちょっと手助けです」 「何で入れたの?」  容器を見せられて、ふと血の気が失せてしまった。こんな洗浄機まで、志摩は用意していたのか。 「黒川さんに貰ったのです。中出ししたら使えって言われました」  黒川は、こういうグッズに詳しい。谷津も含めて楽しんで購入しているらしい。 「志摩……」 「皆、心配しているのですよ……」  そういう心配は必要ないと言いたい。  風呂を出ると浴衣が用意されていて、着ると旅館を探検してしまった。綺麗に掃除されていて、使用していないのが勿体ない。 「露天風呂も空があればな……」 「そうですね、庭園は造りましたが、いつも夜みたいですね」  志摩に激しく抱かれてしまったせいなのか、腰がダルい。思わず腰を押さえていると、志摩が掴んで手に乗せてくれた。 「少し、使い過ぎましたか?」  志摩が腰を揉んでくれたので、寝転んでしまった。すると、天井に映像が映っていた。 「あ、これは酒蔵」  真相が知りたかったせいなのか、酒蔵の映像が映っていた。   若い杜氏には、優しい笑顔の妻が寄りそっていて、その妻のお腹が大きい。幸せ一杯だった二人に悲劇が襲い掛かる。夜のコンビニで不良に絡まれてしまい、二人は空き屋に連れ込まれる。身重だというのに、そこで不良にレイプされた妻、そして妻の目の前では、杜氏も同じく男を受け入れていた。 「彼女には何もしないでくれ!お願いだ!」 「じゃ、代わりに抱かれろよ」  異なる部屋に入れられていたが、妻からは杜氏が見えていた。騙されていると叫びそうになると、女性の口にはパンツが押し込まれてしまった。 「痛い!いやだ!」
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