私の好きなもの

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白凰(はくおう)さまがんばれ!白凰さまがんばれ!白凰さま!……」 テレビの前で祈るように手を合わせていたりんは、立ち合いと同時に思わず自分も立ち上がった。 「いけ!白凰さま!……よしっ!」 その日の結びの一番は、横綱 白凰が押し出して白星をあげた。 (みなみ) りん 十一才 小学五年。もうすぐ、六年生に進級する。 フゥ…と大きく息を吐くと、たった今まで、大相撲中継が流れていたテレビをリモコンで消した。 りんの好きなもの。大相撲、百人一首、動物、某局の大河ドラマ…… 他にもまだまだたくさんある。が、先ほど並べたものは、りんの中でも上位に入る好きなものだ。 ……「渋い」とか「変わってる」とか言われてしまう。納得はしていないが、自分でも自覚はある。 同級生の女子は、もっとキラキラしたものが好きだし…… でも、好きなものは好きだから、周りに多少理解されなくても、それでいいかと思っている。 先ほど、テレビで熱く応援していたのは『大相撲 春場所』だ。 横綱 白凰は、りんが相撲に興味を持ち始めた小一の時には、すでに横綱だった。 それから、ケガで辛そうな時もあったが、ずっと強い横綱でありつづけている。
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