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相撲の勝負が決するのは、早い。ほんの数秒で決まる事もある。
かと思えば、がっぷりと組んでなかなか動かない取り組みもある。
なんのガードも着けない、まわし一枚の男たちの真剣勝負。
そんな気迫のようなものを強く感じたのは、幼いりんにとって初めての事だった。
普段の力士たちの様子にも、心惹かれた。
大きくて丸い身体。笑うと、削ったばかりの鉛筆で描いたような細い目になり、なんとも優しげに見える。
動物に例えると、力士たちは『ぞうさん』だ!大きくて、強くて、優しい。りんは、それを思いついた時、あまりにもピッタリでちょっと得意な気持ちになった。
りんから見れば、歌って踊るアイドルよりも力士の方が、カッコよくてかわいいのだ。
『マニア』と呼ばれるほど、相撲に詳しいわけではないけど。
場所前になってくるとワクワクする。夕方五時以降の取組は特に気になるし、大相撲のニュースは、父と一緒に見いってしまう。
好きなんだなぁと思うし、特にそれをごまかそうとも思っていない。
りんには小さな頃から、そういうところがあった。
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