私の好きなもの

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「うんうん。今日も叶多(かなた)くんは麗しいわ!王子様の輝きは、朝陽にも負けてないわね!」 りんの母が、眩しそうに目を細めながら言った。 お母さんが眩しいのは、朝陽じゃなくってかなちゃんよね…… 溜め息をつきながら、心の中でりんは溢した。 前野(まえの) 叶多──りんのご近所さんで同級生で保育園からずっと一緒。いわゆる幼なじみである。 スラッとした長身に、長い手足。学年の中でも背が高い叶多と、一三二センチしかないりんは、なんと三十センチの身長差がある。 艶やかなサラッとした黒髪に、りんよりもきれいな白い肌。ガンガンプールに入る夏場でも、うっすらと黒くなる程度。 普通の子でも黒さが褪める冬場。ピンと冷たい空気にさらされて、叶多の白い肌は一層透明感を増すようだった。 小さな顔に澄んだ黒い大きな瞳、りんにはなぜかいい感じに見えてしまう鼻と口。 勉強もスポーツも、ニコニコとしながら結果を出す。 穏やかな性格で、誰にでも優しい。 老若男女問わず、叶多は大人気だ。 りんと叶多が出会ったのは、保育園。りんと叶多が二才を迎える年だった。
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