23人が本棚に入れています
本棚に追加
「うんうん。今日も叶多くんは麗しいわ!王子様の輝きは、朝陽にも負けてないわね!」
りんの母が、眩しそうに目を細めながら言った。
お母さんが眩しいのは、朝陽じゃなくってかなちゃんよね……
溜め息をつきながら、心の中でりんは溢した。
前野 叶多──りんのご近所さんで同級生で保育園からずっと一緒。いわゆる幼なじみである。
スラッとした長身に、長い手足。学年の中でも背が高い叶多と、一三二センチしかないりんは、なんと三十センチの身長差がある。
艶やかなサラッとした黒髪に、りんよりもきれいな白い肌。ガンガンプールに入る夏場でも、うっすらと黒くなる程度。
普通の子でも黒さが褪める冬場。ピンと冷たい空気にさらされて、叶多の白い肌は一層透明感を増すようだった。
小さな顔に澄んだ黒い大きな瞳、りんにはなぜかいい感じに見えてしまう鼻と口。
勉強もスポーツも、ニコニコとしながら結果を出す。
穏やかな性格で、誰にでも優しい。
老若男女問わず、叶多は大人気だ。
りんと叶多が出会ったのは、保育園。りんと叶多が二才を迎える年だった。
最初のコメントを投稿しよう!