私の好きなもの

8/19
前へ
/19ページ
次へ
……いつから叶多は、変わってしまったのだろう…… ムチムチと柔らかかった叶多の手足が、細く長いものへと変わっていった。 触ると気持ちのよかったほっぺは、シュッと細い三角の顎につながるだけのものになってしまった。 みんなから「かわいい!元気!」と愛されていた叶多。それがいつしか「カッコいい!」と女の子からハート型の瞳を向けられるようになっていた。 ……私が好きなのは、コロコロと丸くてかわいかった叶多だもん! 小学校に入ってから「叶多くんと、仲いいよね」と、周りの女子たちに何度も言われた。 そのたびに「幼なじみだから」と答えた。 「付き合ってるの?」なんて訊いてくる、ませた女の子もいた。 「私の理想の彼氏は、体重百キロオーバーです!」 そこまで言うと、相手は納得してくれる。りんが相撲好きだと知っていると、尚更だ。 「だよね~!りんちゃん、デブ専だもんね」 「なっ!?デブじゃないから!鍛えぬかれたぽっちゃりだから!」 ……デブじゃないし、今の叶多は違うもんっ!
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加