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男は苛立っていた。
目の前の少年。
否、青年が全くの無防備であることに。
そしてそれ以上に男は喜んでいた。
自分が探し求めた彼が自分の目の前にいることに。
あの日、男は大学の教授に連れられあの学会に参加していた。
学会が終わりバスに乗り、ふと顔をあげた時こちらを見ていた男の子と目が合った。
その時男は心臓を鷲掴みにされたような気がした。
少年も何かを感じたようで驚いたような顔をしていた。
少年を手放してはいけないと感じたもののバスに乗っていた男はどうすることも出来なかった。
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