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「佐倉くん。これ、今月分の薬ね。飲むの忘れちゃダメだよ。」
「はい。分かってますよ、先生。」
佐倉響はこの世界で珍しい男性Ωだ。
しかしながら20歳になった今でも発情期が訪れず一応薬は飲んでいるものの普通の学生と同じように大学へ通っており、彼がΩであることを知っているのは担当の医者と、家族。
そして幼馴染のβの白石絋だけだ。
響の通う大学は実家からは通えず、大学の近場のアパートで一人暮らしをしている。
両親にはもし発情期が来たらと心配され反対されたものの、響と同じ大学に進学した絋がアパートの隣室を借りると説得し、一人暮らしをできるようになった。
響は心配で堪らないといった両親の気持ちが全く分からないでいた。
響はΩの発情期を自分とはどこか遠いもののように感じていたからだ。
Ωの発情期がどれほど危険なものか分かっていなかったのだ。
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