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今年の春で4年生になる響はもうしばらく大学で研究を続けようと考え、大学院への進学を志望していた。
響が通っている学部は3種の性について研究している学部で、響は自分の性について持っていた疑問を解決したいとこの学部に入った。
響がこの学部に興味を持ったきっかけはある学会だった。
αである父とΩである母の間に生まれた響は幼い頃から父と母に様々なことを教わっていた。
その日響はαとΩの関係を研究していた父に連れられ3種の性はなぜ存在しているのかということについての学会に参加したのだった。
まだ12歳だった響にはとても難しい内容だったが、自分がどうして存在しているのか。
それが少しはわかった気がし、自分の心を強く打ったことだけははっきりと分かった。
そしてさらなる衝撃を受けたのはその帰り道のことだった。
学会を終え、父とバスに乗っていた。
バスに乗っていつもより高い目線で景色が過ぎ去っていくところを見るのが好きでいつも窓から外を眺めていた響。
その時彼と出会ったのだ。
否、あれは出会ったとは言えないのかもしれない。
それは、違う行先に向かうバスでたった一瞬すれ違っただけだったのだから。
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