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「失礼します。」
ノックをしてゼミの研究室に入る。
まだ集合時間まで30分程余裕があり、研究室内に居たのは1人だけのようだった。
「こんにちは。」
「こんに…………えっ?」
響は研究室内に立っていた男の人の顔を見て動けなくなってしまった。
そこに居たのはあの時の男性だったから。
それに気づいてしまうと同時に身体の中の血液が物凄いスピードで体内を駆け回っているような気がした。
「……っ!君、薬は!?」
男はハッとしたようすで慌てて声をかけてきた。
「………くすり?なんの?」
「病院で貰ってるでしょ?」
体が暑くて暑くてたまらなくて頭が働かない響はぼーっとしており、男が言っていることの意味があまり分かっていなかった。
こてん、と首を傾ける響に男は焦ったように教える。
「ヒートの薬だよ!」
「ひーと?んー?かばんかなぁ?」
「!とりあえずこっち来て!!」
ヒートで熱くなった響の手を引いて男は空き教室に駆け込んだ。
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