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「何だ、やっぱ気づいてなかったんだ、日永」
ちらちらと私を見ながら画面を打つ彼を見て、不快な、何とも言えない恐怖感のある感情が、胸の中を渦巻き始める。
「ど…どういうこと?」
だが、正真はチョコの袋を開けてそんな私の声をかき消した。
「えぇ!既製品かよ!好きな男にチョコは普通手作りだろうが!何考えてんだよ、日永。うっわ」
一人口角を上げ、笑いを堪えている様子で、彼はどんどんメッセを打ち込んでいるようだった。
「ねぇ…どういうこと?」
再度、私は訊く。
すると、メッセを送った彼は、にやりと画面を見て笑った。そうして、「ほら」と言って私にスマホの画面を見せる。
私は少しずつ目を見開いた。
「…」
じわりじわりと目が開く。
そこには、私―――未来の彼―――正真とのデートの様子がムービーで撮られ、様子が報告され、そんなデートの様子をLINEで共有している内容が表示されていた。
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