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夕方。テーマパークを回り、歩き疲れた私は、帰り際になって彼に思い切って声をかけた。
先を歩いていた彼は振り返った。
「ん?」
「あの…これ」
私は、袋に入ったチョコを渡した。
すると。
「やったぁ!ついに日永のチョコゲット!」
彼は喜んだ。
歯を見せて飛び上がった彼に、私はぽっと頬を赤らめた。けれど、その直後、私はキョトンとした。
「ゴール!蒼太朗たちに画像送ろうっと!」
スマホを取り出し、写真を撮り始めた彼に、私は瞬いた。そうして尋ねた。
「…ゴール?」
ぱちぱちと瞬く私に、彼―――正真はその時初めて今までと全く違う視線を向けてきた。
冷たい視線だった。
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