1人が本棚に入れています
本棚に追加
イルビスは躍起になって話を続けた。
「だからって弱い人間にムチを打とうと弾圧をかけていいのか? ギルドもそんなやり方をしていて、それは間違っているじゃないか。あいつらに殺された人間だっているんだぞ。俺の友達も……」
ギルドと口にしたイルビスは拳を振るわせながら歯を噛みしめていた。イルビスの言葉を聞いてミユキは口をつぐみ、その後かすかな声で応えた。
「そりゃ、私だって急いで子供産んだりしたくないし、そのせいで殺されるのもいやだけど……」
ギルドの執った政策はあまりにも過激だと二人は感じていた。
「今までだってギルドのような考え方を押しつける奴だっていたし、これからもそんな奴に世界を支配される! そんなことがあってたまるか!」
イルビスの内に溜まっていた怒りが次第に吐き出され、それは無意識にミユキへ向けられていた。
「けれどね、あなた一人が怒ったところで世界は何も変わってくれない。誰かが他人を変えることなんてできないのよ」
ミユキは淡々と返した。
「だったらミユキはこんな世界のままで良いって言うのかよ。誰かが変えなくちゃいけないんだ、この世界は。それが信じ続けなくちゃいけない」
かつて高校受験において、その競争を体感したイルビスにとっても、過酷な競争を強いられるこの世界は今すぐにでも変えたいと思っているものだった。
最初のコメントを投稿しよう!