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地球のその地域は地面が枯渇し、大気中には高濃度の緑色の粒子が漂っていた。青い空に、緑の霧が立ち込める。緑の粒子は大地から噴出したもので、人々がこれをものに定着させて空を飛んだり、機械の動力として必要なものだった。辺り一面には、ヤンキーたちとそれに抵抗する人々の間での度重なる争いで崩壊したビルが無数に横たわっており、日差しは照りつけるような熱さだった。吹き付ける風はタバコの匂いがしており、つい先ほど誰かが吸ったものだと分かるほどの匂いだった。一人のモヒカンヘアーをしたヤンキーが声を荒げていた。
「オラ、何モタついてんだ、さっさと働かんかい!」
およそ150cmほどある金属材を運ぶ人々に、薄汚い僧侶服を着たヤンキーは、右手に握った鞭をしならせ、ぶつけていた。
「助けて下さい、お願いします!」
鞭をぶつけられた一人の若い男が懇願した。
「ハッ、助けて欲しいだと? ざけんなコラァ! ならもっと働くことだな! この世は俺たちのものだ。逆らったらどうなるか、分かっているだろうな?」
「そ、それだけは!」
男がさらに懇願する中、ヤンキーは僧侶服から右手で拳銃を取り出し、銃口を男に向けた。
「ひぃっ!」
「へへっ、ビビッてやがんの!」
ヤンキーは脱力したかのように右腕を下ろした。男は隙を突こうと半ば怯えながら走り出し、ヤンキーに向かって突っ込んでいった。
「う、うわぁぁぁぁ!」
「ちっ、コイツ!」
ヤンキーはすぐさま銃口を男の右脚に向けて発砲した。
「ぎゃぎょッ!」
倒れた男は被弾した右脚を震わせながら地面の上で硬直しながら身悶えした。その右脚をヤンキーが踏みつけた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」
男は激痛に悲鳴を上げ、ヤンキーは高らかに笑うのだった。
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