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「それにさぁ、俺達このままでいいのか?子供産みたくなった時はすでに遅しということにもなりかねないし、働かないと食い物にもありつけなくなったり、生活が回らなくなったりするんじゃないのか?」
「確かに、このままじゃな……旧世界では、あいつら強者であるヤンキー主導とはいえ、なんだかんだで世の中が回っていたし」
オルタスに住む人々は地球を旧世界、自分たちの住む世界を新世界と呼んでいる。オルタスに移り住んだ人々も家事手伝いを行っており、その他、就労リハビリのための施設で軽作業を行って工賃を稼ぐ者もいたが、旧世界での様に残業代を得られずに1日に10時間働かされ、休日もないような就労は行っていなかった。
「俺達だけで世界を営むことって出来るのか?」
2人があおりあう中、もう一人のヒューマノイドの女が会話に加わった。
「まぁ、いざとなったら政治とかアタシたちが何とかするから。任せてよ。それにアタシたちはいつまでもピチピチだし、子作りだってそっちが良ければいつだってできるんだから!」
女ヒューマノイドのからかいに2人目の男が顔を赤らめる。
「な、何を言っているんだ! そんなつもりじゃ……」
それに対して女ヒューマノイドが悪戯をしたかのように微笑む。突如、地面を大きな影が高速で横切った。風圧が4人を襲う。
「な、何だ!?」
影の正体を追おうと視線をめぐらせた後、4人が見上げた先にはモヒカンのようなパーツが頭部に付いた、肩幅が4mほどある10数メートル級の人型マシン―リビング・アーミー(以下L.A)、VP-330『ヴィヤーサ type P330』が立っていた。
「おい、あれって!」
「ヤンキーのL.A.じゃないか!」
『ヴィヤーサ type P330』の右手にはサブマシンガンが握られており、一人の男に向けられた。サークルのメンバーである女性ヒューマノイドが前に出て、腕をかざして他の3人をかばおうとする。『ヴィヤーサ type P330』からいがらい声が聞こえる。
「テメェらいい気になりやがって! 俺たちが地球で少ない人口の中、必死こいて世の中動かしているってのに、のうのうと森林浴なんかしてんじゃねぇ!」
『ヴィヤーサ type P330』にはヤンキーが搭乗していた。怒鳴るヤンキーに対して、男の1人が振り絞るように声を発した。
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