0人が本棚に入れています
本棚に追加
4.
「でも狂気って字を見てると何か怖くなってくるわよね。字体が妙に禍々しいというか。お化けが出そうな。」
「こんな真っ昼間からお化けが出るわけ無いだろ! ってそれは先入観か。まあその字は表意文字だからイメージが伝わり易いというのはあるな。..あれ? レワはお化けなんて信じてないんじゃなかったか?」
「信じてないょ。それはあなたもでしょ。実証されざる物を信じたりしたらグランスーズさんに逮捕されるわよ。」
「ははは。さすがに怖い上司が出てきたらお化けなんて直ぐに消えちゃうな。」
「なんで?」
「思うにお化けとは人間の意識が作り出した恐怖の虚像なんじゃないか? それもより高次の恐怖対象が存在しない時だけ現れる。だってそうだろ? 殺し屋、敵国の軍隊、凶暴な野性動物、亭主を尻に敷く女房、そういう現実の脅威が迫っている時にお化けなんか現れないだろ。」
「確かにそうね。..最後のは余計よ。」
「...すいません。」
最初のコメントを投稿しよう!