古い記憶

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カキ氷器というのだろうか、あの機械は。 鉄製の、 どっしりとして、 がっちりむんずとブロック状の氷を上から押さえ込み その下ではカキ氷屋のおばさん(あるいはおじさん)が 片手でガラスのうつわを 器用に傾け廻しながら 削り落とされた氷を盛っていくのだ。 幼い僕は暑い日に 未舗装の道路を歩いている。 道の脇にはカキ氷屋があって 窓からその機械が見えている。 色は淡く剥げかけたような水色で 富士山のような絵柄がついている。
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