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その子はもう成犬で、長いブロンドの毛を揺らしてパンを食べる。
犬種はよく分からない。
これだけ人懐っこいんだから、きっと飼い犬だったんだろう。
もしかしたら大きくなりすぎて捨てられたのかもしれない。
「うちで飼えたらいいのにね……」
うちは一軒家だけど、ママが犬猫アレルギーで駄目なのだ。
あたしの言葉に相槌をうつように、犬は「くぅーん」とあたしの手を舐める。
「ごめんね」
結局、あたしもこの子を捨てた飼い主と同じかもしれない。
餌をあげても、責任は取れない。
頭を撫でると犬はあたしに寄り添うように、体をすり寄せてきた。
暖かい……。
「だれか、お前を飼ってくれる人、居ないかなぁ」
そう言ったところで、誰も答えてはくれなかった。
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