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楽な体勢をとって、さぁ読もうかなと思ったら、「よっ、麻倉」と私と同じようなスウェットを着た男が体を屈ませヌッと顔を覗かせた。
私は「わっ!」と驚いてコミックを投げ落としてしまった。
「あははっ。麻倉がココに入ってくの見えたんでな。」
私が驚いたのを面白がっている。
「な、なんで川嶋がココにいんのよ!」
いきなりの登場に動揺しながらも声のトーンを抑え、コミックを拾い胸に抱えた。
「なんで、って、風呂に入って休憩しに来たんだよ。」
「そ、それはそうだろうけど……」
「あ、ココいいか?俺ちょっと仮眠。麻倉帰るときに起こせよ。」
「へっ?あぁっ?」
私が返事をするのを待たずに、この男、同僚の川嶋蒼央はシェルフに入ってきて、私の向こう側の壁の方に頭を向けて仰向けになり目を瞑った。
背が高い上に足が長いので、片足は曲げているが伸ばした方の足が私のテリトリーに入ってくる。
その、強引な男でも嫌だと感じないのは、少なからず私が川嶋に好意を持っているからだ。
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