_Side Kei.

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「オレは精霊崩れの妖魔だから知ったこっちゃないっすけど、人間の鴉夜さんには、それはどーかと思うっすよ。だって、人間だけじゃないっすか、神様に赦された存在って」 「……?」 「化け物と違って『神意』に縛られない『人間』なのに、何でわざわざ可能性を閉ざすんすか。オレみたいな化け物には理解できないっすね。せっかくの人間のぬくもりが勿体ない」  伝わってほしいが、難しいことは以前からわかっている。  鴉夜は刃のような、(ことわり)の外に出かかった化け物を狩る神の使徒だ。人間の鴉夜がそうなってしまったのは生贄にされたからで、橘院長に拾われなければ「神隠し」で闇に消えていた少女なのだ。  人間は弱いが、代わりに化け物より行動が自由という利点がある。例えば世界を滅ぼせる「力」を持つ化け物がいたら、その機能は必ず制限される。人間世界のゲームのラスボスのように、存在の仕方までおそらく限定される。  「神意」――理というのはそういうものだ。でなければ世界は成立も存続もしていない。
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