_BEFORE FILE H.

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 その黒い鳥の青い炎……悪魔と繋がるためのぬくもりは、まるで「呪い」のようだと、少女が本能的に怖れていたことは正しかった。  少女を縛り、旅から旅へ駆り立てるもの。  悪魔の少年も警鐘を鳴らしていた。思えば少年が妖魔に憑依して以後、少女から身を隠し続けたのは、実に懸命な判断だった。  ヒトが罪を犯す時は、どんな状態であるか。それを考えれば答は簡単だろう。「悪」への誘いは何処にでもある。それが悪魔からであれ、悪の意を持つ神からであれ。  彼らはその時、どうした餌を使うか。この少女を闇に堕とすことなど、「悪神」には些細な問題だった。  あえて少女を泳がせ続けたのは、退屈しのぎのつもりなのだが――もしかしたら、少女の母であった心の名残かもしれない。  そうだとすれば、これも一つのぬくもりがもたらした呪い、空しい嘘だったのだろう。  この先少女が少年に出会い、現実の冷たさを知る日までは、黒い翼は真の主を待ち続ける……。 青炎 了
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