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 自分が消えられないのは、死神に力を分けられているから。それすら自業自得だったのだと、彼はもう嗤うしかなかった。 「俺は何で――アンタを殺したんだ?」  生き物らしさがほとんどない死神にも、ようやく納得がいく。彼に命――羽を奪われて、その後は命を共有して生き繋いだなら、色々と足りないものもあったのだろう。  自嘲するような彼に、死神は至って平静に、予想以上の答を返してきていた。 「そりゃ、オレ達悪魔が、お前の妹をこき使ってたから。正確には使われてたんだけど、まあそれはどっちでもいいかな」 「……は?」 「お前はそうやって、人のためなら躊躇なく手を汚すみたいだね。お前自身は、何もしたくない――殺したくはない奴に見えるのに」  思ったよりもずっと、死神は彼の素性を知っている。彼が何も聞かなかったから、教えなかった。その一言に尽きるようだった。 「何もしたくないなら、しなくていいよ。ここはそういう所だから。お前にとって余計なものを、捨てていくことができる場所だよ」  繰り返しそれを言う死神に、彼は唐突に、何故か胸が痛くなった。 「……アンタはそれだけ、俺のことを知ってるのに」  思い至ったのは、死神がただただ、彼の都合に添って話している現状だった。 「俺に何も教えなかったのは……俺がそれを、望んでないから?」
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