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進藤達也は六歳。かわぞえひかり幼稚園の年長組「すみれ組」に通っている。三清山賀製薬本社から一山離れた新興住宅街にある幼稚園だ。
昨日もいつもと同じように、一日の最後にはお別れ会が行われた。男の子十五名と女の子十五名が帰り支度を終えて、ピアノの椅子に座るまみ先生の周りを囲むように座った。まみ先生はみんなの顔を一通り見渡し、帰り支度が終わっているのを確認すると話し始めた。
「ちゅうもく! さあ明日は待ちに待った動物園遠足の日です。みんな楽しみかな? 」
「うわあ! 」子どもたちの歓声が上がる。
「はーい 先生も楽しみです。お弁当におやつ、お手拭き、レジャーシートをリュックに入れて忘れずに持ってきてね」
「はーい」
「それに水筒と帽子も忘れずにね。分かりましたか? 」
「はーい」
「じゃあお歌を歌って帰りましょう」
「はーい」
まみ先生の軽快なピアノの伴奏がはじまった。そして子どもたちの大合唱が響く。
♪
今日も一日 すみました
なかよしこよしで お片づけ
先生さよなら またまたあした
イェーイ!
おゆうぎ おうたも すみました
なかよしこよしで 帰りましょう
みなさんさよなら またまたあした
イェーイ!
いつもの事ながらイェーイ! は全員ジャンプで盛り上がる。これがないと幼稚園児は帰れない。
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