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鼻をくすぐるお日様の匂い。僕より少し高い体温に逞しい胸。すっぽりと収まる僕の身体が妙に馴染んでいるようで堪らない気持ちになる。
「ずっと会いたくて…元気そうで良かった」
吐息で話すような声に胸が締め付けられた。僕が手紙を出さなかった間僕と同じように思ってくれていたんだろうか。
「…手紙…書かなくて…ごめん…」
ふっと笑った彼は小さく首を振った。
「いいよ。こうやって会えたんだから。俺は、今も、あの約束忘れていないし守ってる。これからもずっと守っていくつもりだから。覚悟して」
あの頃の強引さはこんな風に成長したのかと戸惑う反面、約束を守っていくという言葉がこだまして胸を熱くさせる。
思い出せない約束は守られていくんだとホッとしているのは、洸が真っ直ぐ見つめてくれているからだろうか。あんなに悩んで悔やんだ想いは、その一言でパラパラと砕け散っていく。
夢にまで見たこの胸に抱きしめられてる。約束はきっと僕達の未来に繋がってる。洸の優しさにその想いに、僕はハラハラと涙を零した。
あの頃の君との約束。今も忘れないでいてくれてありがとう。
~end~
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