朱き涙

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生まれて来なければ良かった。 もしも神がいるのなら、何故こんな自分に生など与えた。 無情な灰色の空に、叫びは消えて行く。 止まらずに涙は流れる。 炎を映し、血のように朱く朱く。 呪わしく忌まわしい朱は激しさを増す。 それは彼女と歩いた道に降る落葉の朱よりも狂おしく。 並んで見上げた夕焼けの朱よりも熱く。 二人向き合って語った囲炉裏の炎よりも遥かに無慈悲に。 このまま全てを舐め尽くして。 罪深き存在を消し去ってほしい。 何処までも、朱に包まれて。 朱い月が流すのは、朱き涙。 届かぬ氷の光に焦がれ、泣き叫ぶ魂の色。
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