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2.不機嫌な拓斗
「幸一くん、今日も遅いの?」
「うん。急ぎの仕事があるんだけどぜんぜん終わらなくて残業になると思う。毎日悪い」
「ううん。仕事なら仕方ないよ。拓斗のこと、また休みの日にでも相談させて。拓斗!早く学校の準備!」
妻の宏美が小学2年生の息子、拓斗を急がせる。
「やってるよ!お父さんお仕事行くの?いってらしゃーい」
声から拓斗のバタバタしている様子が伝わってくる。
「おう、拓斗も学校頑張ってな!じゃあ行ってくる」
「はい。いってらっしゃい」
「敬人、いってくるね」
幸一は妻の大きくなったお腹を優しくさすった。宏美のお腹には二人目の子供ができていて、来月が出産予定だった。男の子とわかった時点で、名前を『啓斗』と決めていた。
拓斗ができてからずっと二人目ができなかったので幸一はあきらめていたのだが、ついに待望の二人目ができた。幸一も二人兄弟という環境で育ったので、拓斗に弟ができることを喜んでいたのだが…
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