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バシッ!
「お父さん、お腹さわったらダメ!」
拓斗が凄い勢いで走ってきて、幸一の手をたたく。
「拓斗!あなたお兄ちゃんになるんでしょ!どうしてそんなことするの!」
「弟なんかいらない!」
プイッとそっぽを向いて拓斗が走っていく。
「拓斗!」
拓斗が弟の誕生を嫌がっているのが幸一の心配事だった。弟ができるとわかったときは喜んでいたのだが、幸一がお腹に語りかける姿や、お腹をさする姿を見てやきもちを焼いたのだろう。宏美が相談したいというのもそのことだった。
「幸一くんからも何か言ってよ」
「休みの日にゆっくり話してみるよ。とりあえず行ってくる」
「わかった。いってらっしゃい」
(さて、何をどう話したもんかね…)
拓斗の怒る顔を想像しながら、幸一は玄関を出た。
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