5人が本棚に入れています
本棚に追加
3.勇輝の話
「拓ちゃん、そんな感じなんだ。赤ちゃん返りってやつ?」
「いや、そこまでじゃないんだけど、とにかくやきもちが酷くてね」
「そうなんだ。うちも二人だけど、なんせ同時に産まれてきたからそういうのはわからないな」
幸一は久しぶりに弟の勇輝と飲みに出ていた。勇輝も結婚して子供が二人いるが、双子の兄弟だった。年齢は拓斗の二つ上で、小学4年生。二人とも拓斗のことを弟のように可愛がってくれて、拓斗もよくなついていた。
「お前のとこは双子だもんな。しかし、まいったよ。何を話してもダメなんだ。拓斗が凄くご機嫌なときでも、産まれてくる子供の話をすると不機嫌になるしね。どうしたもんかと困ってるよ」
「まあでも、長くは続かないんじゃないの?実際に産まれてきた赤ちゃんを見ているうちに、拓ちゃんも赤ちゃんのこと可愛く思えてくるんじゃない?」
「そう願うよ」
幸一もどうして良いかわからなかったので、そう願うしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!