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「そうそう。話変わるけどさ、息子二人に、昔兄ちゃんとよくやったお風呂での遊び教えたんだよ。洗面器沈めて息するやつ。そしたらはまっちゃってさ、最近ずっとお風呂でそればっかりやってて、お風呂から上がってこなくなっちゃったよ」
「そうなのか。俺達もよくやったな。今考えたら当たり前のことなのに、あのときは不思議な気がしたよなぁ」
「ほんとそうだよね。ただね、昔兄ちゃんにやられたみたいにお風呂の電気消してやったらさ、子供たちが不思議なこと言うんだよ。お母さんのお腹の中みたいだ。って」
幸一は、昔自分でもそう思ったことを思い出した。
「おれもそんな気がしたよ」
「そうだったんだ。でも、面白いのはね、二人はよく一緒に洗面器に顔入れるんだけど、そうしていると、お腹の中で喋ってたこと思い出すって言うんだよ。何話したのかは覚えてないらしいんだけど、確かに二人で話してたって。双子って不思議だよ」
(お腹の中で話す…か。そんなことができたら、拓斗もお腹の啓斗に対して優しくなれるのかもしれないな)
「うちも双子がよかったよ」
「大丈夫だよ。きっと可愛がるようになるって。たくちゃん優しい子だから」
「そう願うよ」
幸一はまた、願ってしまっていた。
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