第6章

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とうとうノトを引き渡す時がやって来た。 フォルティ国と隣国の境で、渡す約束をしている。 隣国は随分前にコンドラスト国の属国となっているが、果たして王を処刑して新しく政を始めようとする革命軍にも媚を売るのだろうか、それとも静観して成り行き任せか。 「本当に王様直々に引き渡して下さるとはね。危ないと思うよ。しかも俺の事、拘束もしないなんて」 もっと仰々しいくらいに縛られて引き渡されると思ってた。肩をすくめて呆れ顔で言うノトヘ、 「うるさい。一応お前はコンドラスト国の王で、偶々城の前で見かけた所を、こちらで保護していた事になっている。他国の内乱やお前の独裁政治など、この国では罪に問えないからな。この国に戦争を仕掛けて来た場合は処刑だが」 ミュジィーが眉間に皺を刻み忌々しげに説明する。 「そうなんだ。ところで、王様である貴方の護衛が2人だけなんて少な過ぎない?」 「彼方も同じ条件だ」 ミュジィーとノトを間に挟むように護衛である、スコアともう1人、ランテという彫りの深い顔立ちの、スコアより一回り大きい丈夫な体躯をした男が立っている。 「…ふーん、良い物持ってるね。ソレが噂の?使い熟せるようになったの?」 ランテの腰に下げている獲物を見て、ノトが聞けば、 「………」 ミュジィーは応える気が無く、黙って前を見ている。 それほど待つ事無く引き取りに来た革命軍の代表が護衛を2人連れて現れた。
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