第6章

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「ヘッヘッヘ、どうも、本当に手紙に書いていた通りフォルティ国王様自らとは、ありがたい限り」 隣国の暗い林を背に、革命軍の代表は、人を率いる者としては魅力を感じられない品のない笑みを浮かべて形ばかりの礼をした。 「ああ、我が国に生まれた者はピアノを弾く事を生涯の芯としていて、この国の者なら余程鈍く無い限りは弾く者の性根が音となって感じられる。だから、嘘つきや卑怯者となってしまえば、私も王を続けられなくなってしまうからな」 「そうですか。では、とりあえず、その男を引き渡して貰えますか」 前へ出ようとしたノトの服の背の裾を2箇所から同時に引っ張られる。 「そうだな、革命軍の代表ならば渡してやろう。本当にそうだとしたら、な」 「なっ、何を言っているんです!?」 「あー、それなりの数、居ますよ」 ランテが腰の物に手を掛けて呟く。 「革命軍への手紙には此方はノトを除いて3人で行くから、其方にも同じ人数で来るように伝えて手紙の返事では、同意を得ていたからな。其方の違うという事は、さてはお前達は革命軍では無く、賊だな。賊は捕えるか、その場で死を与える事になっている。この国では害獣扱いなんでな」 「お前らぁ!出て来い!!フォルティ国の王以外を殺せ!!!」 革命軍代表が叫ぶと、背後の生い茂る木々に隠れていた者達がわらわらと現れた。
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