2人が本棚に入れています
本棚に追加
黒いしなやかな肢体もそうだが、今日は珍しく奴の瞳が俺を見た。
俺の輝きと同じ、いや負けてない青色。
こうしてちゃんと見たことはあっただろうか、素直に綺麗な色をしているなと思った。
俺が世界の中心なのは変わりないがたまにはこんな奴がいても良いだろう。
コイツだけは特別だ。その瞳の輝きに免じて特別待遇を与えてやろう。
もしかして……。
最近、コイツはよくこの道路を通るなとは思っていたが、もしかしなくても、俺に逢いに来てたんじゃないか?
もしかしなくても、俺と同じ青に仲間意識的なのを感じてるとか。
こっちを見ないのは、俺の輝きの眩しさに畏れを感じてとか……。
有り得るな。なんだやっぱり可愛いとこもあるじゃないか。
自分勝手なこいつの行動も、俺の気を引きたいだけだったのかもしれない。
色々考えているうちに、一気にソイツに愛着が湧く。
俺の意のままに動かないのは、信号機としての矜持からすると悔しくはある。
だが、予想できない猫の反応は、それはそれで俺に良い刺激を与えてくれる。
単調な毎日に飽きるなんてことはないが、この猫のおかげで楽しみが増えたとは言ってもいいかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!