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 僕は子供の頃からお風呂が大好きだった。  毎日1時間以上風呂に入り、のぼせてしまう事も多々あった。  両親も僕がお風呂が好きだともちろんよく知っている。  一度、両親が僕を温泉旅行に連れて行ってくれたことがあった。  熱海? 草津? 箱根? ――――まだ小学生だった僕はどこに行ったのかさえ理解していなかった。  こうして連れられた旅行、僕はとても憂鬱であった。  本当のお風呂好きであれば、温泉に行くと興奮するものなのかもしれない。  だが僕は本当に純粋にお風呂が好きなわけではなかった。  ――お風呂はお風呂でも、家のお風呂が大好きなのであった。  しかしそれを両親の前で言うわけにもいかない。両親は僕の事を想ってこの旅行を設定してくれたのである。  僕は最大限、楽しんでいる風を装った。  温泉には何度も入りに行った。普段から長くお風呂に入ることが多いため、あまり苦ではなかった。――退屈ではあったが。  だがその頃の僕は小学生。小学生の演技など、大人にはバレバレだったのだろう。それから家族旅行の行き先が温泉になることは一度も無かった。
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