朧月

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朧月

「さようなら」  二人とシロに見送られ、私は家を出た。  空を見上げると、朧月が温かく私を照らしている。  振り返ると、そこにはもう祖父母の家は無く、更地に地鎮祭の準備がされていた。  新しい家がここに建つのだ。  ありがとう。  もう、この場所を訪れる事は無いだろう。  しかし、今まで忘れる事など無かった。そして、これからも忘れる事は無い。  この大切な場所は、私の心の中に永遠に存在し続ける。  そして、いつでも戻れるのだ。                                 ―終―
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