2、絡まる誤解の糸

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2、絡まる誤解の糸

 明貴がどれほど夏海を見ているか、一度気がついたら、やたら目につくようになった。これでは噂になって当然かもしれない。  女子は陰で面白がって話すくらいだが、男子は直接からかったり明貴をいじって笑ったりする。 「おまえ広瀬よりチビじゃん」 「早く大きくなれよ、あきちゃん」  そんなふうに言われると明貴は真っ赤になって「うるせえ」と怒るのだが、その顔がまたなんとも可愛い。ひょっとすると男子も、こういう反応が見たくてからかうんじゃないかと思えるほどだ。 「澪ちゃん、よく鈴城くんのこと見てるよね」  クラスの女子にそう言われたのは夏休み前。  昼休み、美月の席の近くでおしゃべりしていた時のことだ。  夏海はよく明貴の席に来る。二人は家族のことや部活のことなど、澪の知らない話題で楽しそうに話していて、夏海にとっても明貴は特別な存在なんだなと微笑ましく見ていた。 「なんか可愛いなって思って」  明貴が一途に夏海を見ている姿や、からかわれて怒る顔のことを言ったつもりだった。 「澪ちゃん、鈴城くんのこと好きなんだ?」 「えっ、違……」 「最初から片想い決定じゃん」 「いや、違うってば!」 「照れるなよー」 「そういうことは気づいても言わないであげようよ」  美月が真剣な顔で発した一言に、みんな気の毒そうな顔で澪を見はじめた。 「応援したいけど……」 「だから、違うって。ほんとに違うんだから」  否定すればするほど変な空気になっていく。 「高清水、オレ聞いてたんだけどさ」  いきなり横から男子が乱入してきた。澪の前の席の子だ。 「席替えした日、鈴城にたぶん好きとかそのうち好きになるとか言ってたよな。あれって告ってたの?」  もしかして名前のことを話していた時の……思い当たった澪は慌てた。 「全然違うから!」  その男子のまわりもニヤニヤして澪を見ている。まさか言いふらされてたんじゃ……澪は焦ったがうまく言葉が出てこない。
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