2、絡まる誤解の糸

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「てきとうなこと言うのやめなよ」  美月が責めると、男子も応戦するように立ち上がる。 「は? この耳で聞いたんですけど?」 「だからって無神経すぎ」  まわりも口を出しはじめ、騒ぎが大きくなっていく。澪がどうしたらいいかわからなくて泣きそうになった時、男子が明貴に向かって大きな声を上げた。 「おい鈴城、高清水に告られたんだろ?」  教室が一瞬ぴたっと静かになって、そのあと驚きの声や笑いがわき起こった。どよめきの中で、澪は凍りついたように立ちすくむ。  美月が男子のほうを向いた。 「最低!」  パチーンという音が鳴り響く。平手打ちされた男子は、美月につかみかかろうとした。 「やめろ、まずいって」  まわりが止めに入ったが、男子はおさまらず、もみ合いになる。  その時、教室全体を震わすような大声が響き渡った。 「告られてねーよ!」  教室は水を打ったようにシーンと静まり返った。明貴が怒った顔で机をバンッと叩く。 「どっからそんなデタラメ出てくるんだよ!」 「……違うんなら違うって早く言えよ」  非難の目から逃れるように、男子が澪に文句を言った。
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