2、絡まる誤解の糸

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「はじめから違うって言ってるのに!」  悔し涙を流しはじめた澪のところに、女子が集まってきて、その中には夏海もいた。 「よくわかんないんだけどさ、謝ったほうがいいよ?」  夏海は男子に冷たい目を向けた。 「女子みんな敵にまわしたら地獄だと思うよ」  美月のビンタより恐怖心をあおったらしく、男子は小さくごめんと言った。  そこでチャイムが鳴って、騒ぎはひとまずおさまったものの、澪は席に戻るのが怖かった。自分がちゃんと説明できなかったせいでこんなことになって、明貴にまで恥ずかしい思いをさせたのだ。  ハンカチで涙をぬぐい、思いきって席に戻る。隣を見ると、明貴はかたい顔でまっすぐ前を向いていた。 「ごめんね」  一言だけ謝ったが、返事はなかった。  その日を境に、明貴は澪と口をきかなくなった。  可愛らしい顔をこっちに向けてくれることもなくなって、おはようすら返してくれない。  ショックだった。  澪は謝罪の手紙を書いたけれど、誰かに見られたらまた変な噂になると思うと、怖くて渡せなかった。
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