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綺麗なねえさま
ウシねえさまは、海の水面のような人。
太陽の明るい輝きではなくて、水面にうつり、揺れながら、遙か大和まで黄金の道を作る反射みたいな感じの人だと思う。
ウシねえさまは平民だけど、わたしのうちは一応士族の片割れだった。
かあさまは小さい時になくなっていて、とうさまは按司様のお屋敷にお勤めにいっていた。
幼いわたしの手を引いてくれたのは、いつも、ウシねえさまだった。
ごはんを食べるのもウシねえさまのうち。
とうさまがいない晩は、ねえさまのうちで、一緒に寝たものだ。
ウシねえさまは、幼いころから綺麗なねえさまで、まるで年をとらない不思議な人なのだった。
今も、忘れない。
夜、ねえさまは、かあさまを恋しがって泣くわたしの手を引いて、月あかりの砂浜に連れて行ってくれた。
豊かに葉をしげらせた樹木は夜闇の中で、お化けのように枝を伸ばしていた。
だけど白い月光は、昼間、太陽が海の上に光の道を作るように、冷たい輝きを落としているのだった。
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