年下

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「ねぇ、先輩。」 「なあに?」 部活を終えた体育館は静まり返っている。 キュッキュとなるバッシュと床とが擦れる音を聞きながら、私は夢中でボールを磨く。 ダムダムと弾むボールの音と、たまに聞こえるゴールネットに綺麗にボールが吸い込まれた時のシュッという音。 そんなBGMが鳴り止まると、足音は私のすぐ側までやってきていた。 「今から俺、1本でシュート決めます。」 「がんばれー」 ボールをキュッキュと磨きながら答える。 「ここから。」 そう言い彼が立った場所はセンターライン。 「必ず決めます。だからそしたら…」 「先輩。あなたを口説いていいですか?」 私の心臓の音はうるさいくらいドクドクと静かな体育館に響いた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加