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「ねぇ、先輩。」
「なあに?」
部活を終えた体育館は静まり返っている。
キュッキュとなるバッシュと床とが擦れる音を聞きながら、私は夢中でボールを磨く。
ダムダムと弾むボールの音と、たまに聞こえるゴールネットに綺麗にボールが吸い込まれた時のシュッという音。
そんなBGMが鳴り止まると、足音は私のすぐ側までやってきていた。
「今から俺、1本でシュート決めます。」
「がんばれー」
ボールをキュッキュと磨きながら答える。
「ここから。」
そう言い彼が立った場所はセンターライン。
「必ず決めます。だからそしたら…」
「先輩。あなたを口説いていいですか?」
私の心臓の音はうるさいくらいドクドクと静かな体育館に響いた。
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